2015年6月2日火曜日

➐絶望という暗闇に差し込むひとすじの光

ひとすじの光


















人生で一番絶望した時期


我が子の誕生から一週間後に

何の前触れもなく告げられた

『先天性難聴』




その日から突然
『聴覚障害者の父親』となった


小学生の時
『学級委員』
『黒板当番』
『いきものがかり』など
様々なクラスの中での役割分担があった

立候補する者
推薦され投票で選ばれる者




社会に出れば
『主任』
『係長』
『課長』
『部長』

努力すれば
『社長』
『会長』
になってなれる






僕が突然選ばれた
『聴覚障害者の父親』
別に立候補した訳でも
他人から推薦された訳でも
努力を重ねて手にした訳でもない


ある日なんの前触れもなく
突然選ばれた
『聴覚障害者の父親』


我が子の誕生から一週間後
医者の口から告げられた
『先天性難聴』

涙が止まらず
嘘だろうと思い
診察室から出る事すら出来なかった


本当に何の前触れもなく

それは本当に
本当に突然の出来事だった

突然降り出した『通り雨』のように



しかし
それは単なる『通り雨』ではなかった…




僕『お前が妊娠中に風邪をひいたからだろ?』
妻『仕事仕事と飲み歩いてたからでしょ?』

お互いがお互いを責め合い
罵り合い…


家庭崩壊寸前だった…


本当は少しでも早く子供のために
家族一致団結して育てていかなければ
ならない時期に

最悪の状況だった…





まるで嵐の中をさまよっているようだった

家庭でもケンカばかり

仕事でも営業の仕事なのに
上手く言葉が出ない…

今までだったら説明も出来ていた
何でもない商品の説明も…

頭の中では先天性難聴の事ばかり
仕事で人と話さなけばいけないのに
上手く言葉が出てこなかった

家庭も仕事も最悪
そこから逃げるため飲み歩き
朝帰りの日々が続いた


何をやっても悪循環
負のスパイラル

まるで嵐の中をさまよっているようだった…

そして嵐が去った後に待っていたものは

希望も何もない

ただの暗闇


絶望と言う名の暗闇



嵐の中をさまよってもがいた先に
明るい光がさすと思っていた



しかしそこに待っていたのは


絶望と言う名の暗闇…


どうやって我が子に接すれば良いのか?

どうやって我が子を育てていけば良いのか?



『聴覚障害者の父親』として
人生で感じた全て


絶望感

孤独感


そして深夜の孤独なドライブ
県境・都境の山道を一人
うろついた

同じように車の中で一人で
死んだような顔をして車を止めている
人達に出会った

今の自分も人から見たら
死んだような顔をしているのかな?



そして早朝の列車の高架橋の上
同じように死んだよう顔をした人に
出会った

今ならその青い顔をした人と友達になれる
そんな気がした

世の中の不幸を全て背負い込んだ様な
錯覚を起こし

こんな不幸な世の中から消えてしまいたいと
思った





でも気付いた




僕にはそんな勇気も無かった事を

そんな勇気をもてるなら
生きていく勇気も持てる事を

同じように暗い顔をして
下を向いて
世の名の全ての不幸を背負いこんだ様な
青い顔をした人たちとすれ違い

自分もなんてひどい顔をして生きていたんだって
気付いた

落ち込んで落ち込んで
どうしようもないくらい落ち込んで

死にたいくらい落ち込んで

絶望感の淵で気付いた



いつまでもこんな所で
立ち止まっている暇はない

僕は聴覚障害者の父親として
選ばれたのだから

ここからは自分の人生だけでなく

この子のために生きなければいけない



そして誓った

この絶望と言う名の暗闇から抜け出し

強く生きていく勇気と覚悟を持つ事を!!



我が子の明るい未来のために

これからの人生を捧げる勇気と覚悟を!!



そして前を向いたら見えてきた

聴覚障害のために出来る事が

たくさんある事が見えてきた



前を向いたら見えてきた



手話
筆談

そして『口話法』との出会い


聞こえのレベルによって
医者から紹介される施設も様々だ


色々紹介された中で
医者から聞こえのレベルを冷静に判断
されて紹介された口話法での教育

そ口話法での教育を受けれる場所が
たまたま近所にあった

通いやすさも好条件だった

こんな近くにこんな場所があった事を
知り自分自身の世間知らずを改めて
思い知らされた




勇気を持ち訪れた場所で
待ち受けていたのは…



園長先生の優しい笑顔でした



第一印象も優しかったのですが
実際に話をさせて頂いてもその印象は
変わることはありませんでした



体験教育で受けさせて頂いた教育

『世の中にはたくさんの音であふれている』
という事

改めて自分自身がその事に気づき

『音であふれたこの世界の音』をただ伝えて
あげればいいだけだったって事

本当に簡単で単純な事だけど

僕自身がまず世の中の音に気付く
それを我が子に伝える

シンプルだけど一番大事な事

聞こえないからあきらめるのではなく

周囲の小さな音に気付かせる

そして僕自身がどうせ聞こえないんだって
あきらめないで根気よくその音に気付くまで
あきらめずに伝え続ける








先生『ママが料理をすると
    どんな音がしますか?』

(おもちゃの包丁とまな板と野菜で)


先生『トン!トン!トン!』

子供『とん!とん!とん!』

(この言葉はしゃべれないとあきらめていた
 我が子が先生に教えられ初めて発した言葉です)


先生『ほらこうやってまずは身近な音を
    口にして伝えてあげてくださいね』

   『いろいろな音のする場所に連れていって
    その音を言葉で伝えてあげてください』

   『まずはパパ・ママが世の中の音に
    気付く事が大事』
   『その音を言葉にして
    その場所を訪れた時の気持ち
    そういった音・気持ち・感じたことを
    言葉にして伝えてください』


   『そう気付いたらたくさんこの子に
   してあげられる事なんてたくさん
   たくさん世の中にあふれてるでしょ









初めて補聴器をした我が子と近所のスーパーに
出かけた時の事



ベビーカーに乗った我が子に

『まぁ 赤ちゃん(笑)』

そういってベビーカーの中をのぞきこんだ女性の

『あらー』

我が子の補聴器に言葉を失う
言葉で言われた訳ではないけど
小さいのにかわいそうねと言わんばかりの
視線を感じる
(その頃その時そう感じていた僕)

補聴器をつけた我が子と出かける事が
嫌になっていた




人は人

自分は自分

自分の子は自分の子

僕がそこから逃げてどうするんだ!




口話法での教育現場を体験させて頂き


この子とたくさんの場所に出かけて

たくさんの音と

たくさんの感情と

たくさんの言葉に触れさせるんだ




そして僕自身も今まで以上に注意して
世の中の音・感情を感じるんだ

そしてそれを我が子に伝えてやるんだ!!



そんな目の前の目標が出来た!!




絶望という暗闇の中にいた僕にさした

ひとすじの光


そう『口話法』との出会いだった…☆






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