2015年10月28日水曜日

難聴の野球少年が、どうしてもキャッチャーをやりたかった3つの理由

キャッチャーミット


















ベンチの指示も届かない
味方選手の声も届かない
審判のコールも分からない

自分から指示も出せない

味方選手への声も出さない

それでも、難聴の野球少年が

どうしてもキャッチャー(捕手)を
やりたかった3つの理由


①審判のコールが一番近くで聴ける。

「アウト」「セーフ」
「ストライク」「ボール」
審判の様々な判定コール

補聴器(人工内耳)だけでは、

野球の試合中は、聞き取りが困難な場面
はたくさんある。

だから、せめて主審から一番近い場所に

いるポジションで、主審の声が一番近い
場所で聴けるポジション

それがキャッチャー(捕手)




②味方選手の口元が唯一見渡せる場所


せめて、声が聴こえなくても、味方選手

が声を出しているかどうかは、口が動い
ているかどうかで判断できる。

味方野手の顔が見渡せるポジション


それがキャッチャー(捕手)




③味方選手が自分の顔も見えて一番
注目してもらえる唯一のポジション

難聴の野球少年にとって、話し相手同士

きちんと相手の顔をみて話す事は、一番
安心するらしい。そんな状態が常に保て
ている唯一のポジション。

自分も何か言いたい時、相手も自分をみ

てくれている状態は話やすいらしい。

難聴の野球少年にとって、チームメイト

とのコミュニケーションがとりやすいベ
ストポジション

それがキャッチャー(捕手)




以前、マウンドにあがらせてもらった時

こんな事があった。

一塁ランナーがリード大きく、一塁手が

大きな声で「一塁へ投げろ!はやくー」
と一生懸命言ってる声がマウンドに届か
なかったため楽々二塁への盗塁を許す。

「なんで投げねーんだよ。」


と後から言われても、何故そう言われる

のかは理解出来ていない。
自分が聴こえないせいで、チームメイトに
迷惑をかけてしまったという事だけは理
解出来た様子で落ち込んでしまった事も
あった。


背中越しに何か言われても、聴こえない

事はよくあった。

だけどキャッチャー(捕手)だけは、常に

味方の顔を見る事が出来るポジション



難聴の野球少年が、

どうしてもキャッチャーを
やりたかった3つの理由











その難聴の野球少年に一度だけ


「どうしてキャッチャーがいいの?」


と聞いてみた。








すると不思議そうな顔をしてこう答える。







「パパはいつもしょうがっこうの

 グラウウンドでも、

 ぼくにもわかるようにはなしてくれて

 るでしょ

 ぼくもパパがいうことはわかっているよ


 だからなんでそんなこときくの?




 きかなくてもわかるんでしょー




 へぇー


 もしかしてしらなかったのー


 そーなんだー」


とおどけた表情を見せた。









私自身「先天性難聴」と出会い

どうして良いのかわからない日々を
過ごす中、どうしたら良いのかを考え
色々な人にアドバイスをもらいながら、
なんとかここまでやってきた。

自分自身、難聴の人に対する対応が

これで良いのか?今も試行錯誤しな
がら、何とかやっている。


ただ一番大事な事は


お互いが理解し合う気持ち


信頼関係を築こうとするその気持ち

がまずは必要なんだなぁと思う。

今、自分が経験させてもらっている

この貴重な体験をありがたいと思い

これからも難聴の野球少年から

たくさんの事を学ばさせてもらいたい
と思う。



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2015年10月22日木曜日

難聴の野球少年が見せた〝奇跡のバックフォーム〟

奇跡のバックホーム




























〝奇跡のバックホーム〟

と言えば1996年8月21日
夏の甲子園決勝で起きた熊工の
奇跡のバックホームが有名ですが…


ここはただの小学校のグランド

毎週末、全国どこにでもある小学校の
校庭で行われている学童野球で、低学年
で実際、目にした光景です。

一死ランナー二塁
一打出れば同点の場面

打球はセンターを守る難聴の野球少年の
前へポトリと落ちる。

ワンバウンドで打球処理

ベンチからは「バックセカンドー」の指示


何故なら、小学校低学年の肩で、
本塁までは届かない。
当然この場面でも、処理した打球は、
セカンドへ返されるはずだった。

しかしそのセンターの少年だけは違った。

目指したのはセカンドへの返球ではなく
バックホーム!!

全員が目を疑うような矢のような返球

見事なバックホーム!!


思わず二塁ランナーの相手選手も、

なんでキャッチャーがボールを持ってるの
と不思議そうな顔をした

本塁で見事なタッチアウト



一瞬その場の空気が止まった

ような気がした。


球審の「アウト―」のコールで
その場にいた全員が我に返る

「あれはしょうがないよ。」とうなだれて
ベンチに戻る二塁ランナーの少年の肩
をたたく。


それまでも、何度も周囲の声が届かなく
「バックセカンドー」の声が聴こえなく

誰もいないホームベースの上を白い
ボールが転々と転がっていった。

「あいつには言ったって無駄だよ。」

「どうせ聴こえないんだから。」

その難聴の野球少年には届かなかった
周囲の声を、その難聴の野球少年の
周囲の人はみんな聞いていた。




思えば三年前、青い色の補聴器をつけた
プロ野球選手がプロ野球のマウンドに立
っているのを観たその子が

「ぼくとおんなじひとだね。」

と言って「やきゅう」という言葉に興味を
持った。

初めて近所の少年野球チームの体験入部
に参加してみた。

その少年野球チームのほとんどの野球少
年は、補聴器を不思議そうに眺めていた。

何人かのコーチからも
「打球音が聴こえないとフライは
捕れないぞ。」と最初から諦められた。

そんな中、一人のコーチが
「打球音が聴こえなければバッターの打
つ瞬間をずーっとよーく見ていれば、ち
ゃんと捕れるようになるよ。」と声をかけて
くれた。

何度も何度も彼のグローブめがけて
フライを彼のグローブへ入れ続けた。

しかしほとんどの少年は最初からフライ
を捕れる訳ではない。
打球音が聞こえる野球少年でさえ難しい。

それでもこうすれば捕れるよと信じて
何度も何度もグローブにフライを入れ
続けて、成功体験を積み重ねて自信
をつけさせてくれたコーチ。

グローブにコーチが打ったフライが
入ったら、「よーし捕れるじゃないか。」
と少年に笑顔で微笑んでくれたコーチ。


「フライを捕ったら、次はボールを返す
んだよ。」と教えてくれた。

最終的に、フライより難しかったのは
バウンドした打球の処理だった。

少年野球に触れた事がある人なら、
よく分かると思うが、バウンドした打球
捕らせるのは、フライを捕らせるより
難しい。

何度も何度も少年の頭の上を白球が
越えて行った。

それでも少年に合わせてバウンドボール
を打ち続けてくれたコーチ

その少年のグローブにボールを入れ続けて
くれたから起きた


〝奇跡のバックホーム〟


そうか奇跡って甲子園とかたくさんの
人達が見てる前で起こるものだと思っ
ていたけど、こんな街の小さなグランド
でも起こるんだなぁって初めて、その
難聴の野球少年が教えてくれた。

奇跡のような出来事を信じ続けて
いれば、どんな小さな舞台でも起こる
んだ。

道理で僕の人生には奇跡が起こら
なかったんだと初めて思った。



その難聴の野球少年が試合後
僕にこう言った。




「パパ、僕すごいかったでしょう。」




思わず胸が熱くなり

「すごかったよ。」

の一言を返すので精一杯だった。




(すごいかったじゃなくて
すごかったでしょという事は
家に帰った教えてあげなきゃ)





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2015年10月17日土曜日

〝難聴〟に対して大きく誤解していた3つの事

人工内耳


















難聴に出会って感じた

3つの大きな誤解とは?


                  

十数年前、先天性難聴と出会って

私自身が感じた、難聴に対する誤解を

大きく3つにまとめてみました。






1.補聴器を付けていれば聴こえている
  と思っていた。

一番の誤解はこの事実でした。

難聴に出会うまでの私自身の勝手な
イメージですが

難聴=聴こえが悪い

補聴器=聴こえている

難聴の耳に補聴器をつけさえすれば
‘聴こえる’というのは大きな誤解です。


補聴器を付けている人の中には、
耳が全く聴こえていない人もいます。




何故、聴こえないのに補聴器をするの?


答えは、周囲の人に耳が悪い事を伝える
ためです。





補聴器を付けている全ての聴覚障害者が
‘聴こえていない’訳ではありませんが、

‘聴こえないけど補聴器を装用している’
聴覚障害者もいる事を理解して下さい。







2.聴こえてるか?
  聴こえてないか?
  この2種類しかないと思っていた。

一口に難聴と言ってもそれぞれ
聴こえの程度に個人差があります。


聴こえのレベルがみんな違う。

  • 全く聴こえない人
  • 少しだけ聴こえる人
  • 少しだけ聴こえない人



左右どちらの耳が聴こえないのか?
  • 右耳だけ聴こえない人
  • 左耳だけ聴こえない人
  • 両耳が聴こえない人


聴こえない音域もそれぞれ違う

  • 高い音が聴こえない
  • 低い音が聴こえない
  • 高低音どちらも聴こえない

聴こえのレベルの違いにより
静かな場所で二人きりで会話している時
会話に支障がなくても、騒がしい場所で、
大勢の方と会話をするのが困難な事も
ります。

さっきは普通に会話出来ていたのに急に
会話が理解されなくなった、なんて時は、
周囲の環境も充分気にしてもらえれば、
その理由も分かると思います。

人の性格も十人十色
聴覚障害者の聴こえも個人差がある事を
理解して下さい。






3.聴覚障害者の会話は‘手話’だけだと
  思っていた。


先天性難聴と出会って真っ先に頭に浮か
んだ事は、手話を覚えなければいけない
という事でした。

しかし手話はあくまで聴覚障害者の会話
の手段のひとつではあるが、それだけで
はないという事です。



手話が出来ないからといって聴覚障害者
との会話を諦めないでください。


文章で相手と会話する‘筆談’と呼ばれる
会話方法もあります。



相手の口の動き・表情から言葉を読み取る
読唇術の一つ‘口話法’での会話も出来ます。


まずは自分の気持ちを聴覚障害者に伝え
ようとしてみてください。

相手に自分の気持ちを伝えるのは言葉だけ
ではない事が理解できるはずです。




今回は、私自身が先天性難聴に出会った直
後に感じた大きな3つの誤解をまとめてみま
したが、まだまだ細かい部分での誤解も多々
あります。その事を今後もきちんと伝えていき
聴覚障害者に対する理解を、深めていきたい
と思っています。

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みみ太郎


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2015年10月11日日曜日

聴覚障害者が話し相手をじ-っと見つめる理由(難聴と読唇術)

カープファンのツイッター画面より













マエケンと大瀬良大地のこのシーン

正直、私もたくさん泣きました。



いかに大瀬良がマエケンを慕い、
マエケンも大瀬良に想いを託したか

何度見ても泣けてきます。






そんな中、読唇術が話題となっていたので、
少しだけ難聴と読唇術について話します。



大瀬良投手とマエケンの場合
写真を見てもらえば分かると思いますが、

あれだけ号泣している大瀬良投手も、
きちんと耳だけはマエケンの方を向いている
事がわかると思います。

これが聴覚障害者の場合は、耳だけでは聴き取り
ずらいので、相手をじーっと見つめて、口の動き
からも言葉を聴こうとするのです。




私自身、聴覚障害者と触れ合う中で
分かった事なのですが、


“聴覚障害者が話し相手をじ-っと見る時”



それは、話し相手の言葉を少しでも理解し、
話し相手の心を必死に読み取ろうとする時、
なのではないかと感じます。

これは、難聴で聴き取りづらい部分を
相手の態度・表情・口の動きで補っている
からなのだと思います。



私自身も、聴覚障害者の方とお話しさせて
頂く際には、出来るだけ相手の正面を向き、
相手に自分の声が届くと思われる距離で
話す事を心がけています。

言語聴覚士の先生からも、
健常者で30~40dB(デシベル)の通常会話が、
50dB前後、もしくはそれ以上の聴覚障害者に
聴き取りずらい事があるので、目安としては、
静かな室内でお互いが向き合って30㎝程度の
至近距離で話す事を勧められました。

言葉で話す事に加えて出来る事として、
楽しい・悲しい・怒る・笑うなどの喜怒哀楽を、
表情・身振り手振りといった態度で表せる様、
心がけています。



“空気を読む”とはよく言いますが、
どうしても耳で聴き取りにくい部分を
そういった周囲の変化を読み取り
対応しているのだと思います。


そいった対応をしている事だけでも、
出来るだけ多くの方に知ってもらえれば
と思います。

私自身も初めて聴覚障害者の方と話す時、
じーっと顔を見つめられ、心の中まで覘かれて
いるのではないかと恥ずかしくなった事を
思い出します。

耳に入る言葉
目で見える口の動き
体全体で感じるその場の空気感

聴覚障害者が必死に全身で会話を楽しむ

聴覚障害者の広域の意味での読話(口話)
狭域の意味での読唇術

聴覚障害に触れる事で、会話を楽しむ事の
喜びを深く知る事が出来た事が、私の人生
の中での大きな収穫だと思ってます。




聴覚障害者が話し相手をじーっと見つめる


これは真剣に相手の話を聴こうとしている証
なので、こちらも真剣に熱意を持って話せば
きっと話し手の想いは届くという事だけ皆さん
に知ってもらえればと思います。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。



2015年10月10日土曜日

阪急百貨店での、聴導犬に関する一連のニュース。


withnewsキャッチアップ画像より
withnewsより



























朝日新聞デジタルキャッチアップ画像
朝日新聞デジタルより


難聴の立場から、このニュースで感じる事は
憤りとかではなく、まだまだ“聴導犬”に対する
世間の認知度が低いという事実。

どうしても難聴の場合、周囲の人の理解が
必要な部分が多いだけに、もっともっと
この事実を知ってもらい、世間に理解を深める
行動をしたいと思います。
日本聴導犬推進協会

聴覚障害が障害ではなく
個性である時代へ






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2015年10月6日火曜日

先天性難聴の父親がノーベル賞に注目する2つの理由

ヤフートップニュースのキャッチアップ画面(2015.10.6)




















ノーベル医学生理学賞受賞!!



ノーベル賞の時期になると

先天性難聴が治るような発明?だったらと

ここ数年はノーベル賞の話題のたびに
期待してしまう自分がいます。



10億人以上の世界中の人を救った
微生物の世界の大発明らしいですが

残念ながら先天性難聴が治るような大発明
ではないようです。



数年前、京大の中山教授の発明は
もしかしたらという期待はありましたが…



ただいつも思う事は
ノーベル賞受賞会見の受賞者のみなさんに
共通しているのは



  • 目標が決まっている事
  • 人のために役立つ事をしている事
  • 一度や二度の失敗で諦めていない事



今回の大村教授の言葉

「賞は微生物にあげたい。」

「人のために何かできないか?」

「一回二回の失敗は誰にでもある。」




会見の中で垣間見れる発言の数々


子供の先天性難聴に向き合う父親としては
子供が大人になるまでの間にできる事
出来る限りの事はやろうと前向きになれます。



何かを成し遂げた人の言葉には
人が生きるヒントがたくさんあるなー

と最近感じれるようになりました。





先天性難聴の父親がノーベル賞に注目する2つの理由

①難聴が治る発明ではないか気になる。
②受賞者の言葉を聞いて前向きになれる。