![]() |
奇跡のバックホーム |
〝奇跡のバックホーム〟
と言えば1996年8月21日
夏の甲子園決勝で起きた熊工の
奇跡のバックホームが有名ですが…
ここはただの小学校のグランド
毎週末、全国どこにでもある小学校の
校庭で行われている学童野球で、低学年
で実際、目にした光景です。
一死ランナー二塁
一打出れば同点の場面
打球はセンターを守る難聴の野球少年の
前へポトリと落ちる。
ワンバウンドで打球処理
ベンチからは「バックセカンドー」の指示
何故なら、小学校低学年の肩で、
本塁までは届かない。
当然この場面でも、処理した打球は、
セカンドへ返されるはずだった。
しかしそのセンターの少年だけは違った。
目指したのはセカンドへの返球ではなく
バックホーム!!
全員が目を疑うような矢のような返球
見事なバックホーム!!
思わず二塁ランナーの相手選手も、
なんでキャッチャーがボールを持ってるの
と不思議そうな顔をした
本塁で見事なタッチアウト
一瞬その場の空気が止まった
ような気がした。
球審の「アウト―」のコールで
その場にいた全員が我に返る
「あれはしょうがないよ。」とうなだれて
ベンチに戻る二塁ランナーの少年の肩
をたたく。
それまでも、何度も周囲の声が届かなく
「バックセカンドー」の声が聴こえなく
誰もいないホームベースの上を白い
ボールが転々と転がっていった。
「あいつには言ったって無駄だよ。」
「どうせ聴こえないんだから。」
その難聴の野球少年には届かなかった
周囲の声を、その難聴の野球少年の
周囲の人はみんな聞いていた。
思えば三年前、青い色の補聴器をつけた
プロ野球選手がプロ野球のマウンドに立
っているのを観たその子が
「ぼくとおんなじひとだね。」
と言って「やきゅう」という言葉に興味を
持った。
初めて近所の少年野球チームの体験入部
に参加してみた。
その少年野球チームのほとんどの野球少
年は、補聴器を不思議そうに眺めていた。
何人かのコーチからも
「打球音が聴こえないとフライは
捕れないぞ。」と最初から諦められた。
そんな中、一人のコーチが
「打球音が聴こえなければバッターの打
つ瞬間をずーっとよーく見ていれば、ち
ゃんと捕れるようになるよ。」と声をかけて
くれた。
何度も何度も彼のグローブめがけて
フライを彼のグローブへ入れ続けた。
しかしほとんどの少年は最初からフライ
を捕れる訳ではない。
打球音が聞こえる野球少年でさえ難しい。
それでもこうすれば捕れるよと信じて
何度も何度もグローブにフライを入れ
続けて、成功体験を積み重ねて自信
をつけさせてくれたコーチ。
グローブにコーチが打ったフライが
入ったら、「よーし捕れるじゃないか。」
と少年に笑顔で微笑んでくれたコーチ。
「フライを捕ったら、次はボールを返す
んだよ。」と教えてくれた。
最終的に、フライより難しかったのは
バウンドした打球の処理だった。
少年野球に触れた事がある人なら、
よく分かると思うが、バウンドした打球
を捕らせるのは、フライを捕らせるより
難しい。
何度も何度も少年の頭の上を白球が
越えて行った。
それでも少年に合わせてバウンドボール
を打ち続けてくれたコーチ
その少年のグローブにボールを入れ続けて
くれたから起きた
〝奇跡のバックホーム〟
そうか奇跡って甲子園とかたくさんの
人達が見てる前で起こるものだと思っ
ていたけど、こんな街の小さなグランド
でも起こるんだなぁって初めて、その
難聴の野球少年が教えてくれた。
奇跡のような出来事を信じ続けて
いれば、どんな小さな舞台でも起こる
んだ。
道理で僕の人生には奇跡が起こら
なかったんだと初めて思った。
その難聴の野球少年が試合後
僕にこう言った。
「パパ、僕すごいかったでしょう。」
思わず胸が熱くなり
「すごかったよ。」
の一言を返すので精一杯だった。
(すごいかったじゃなくて
すごかったでしょという事は
家に帰った教えてあげなきゃ)

2週間で球速・飛距離アップ!上達DVD

0 件のコメント:
コメントを投稿